民法(債権法)改正の解説4 [民法20条1項] 制限行為能力者の相手方の催告権

民法20条1項の形式的な改正

民法20条1項について、ごく形式的な改正があります。
解説していきます。
改正後の民法20条1項は、以下のとおりです。

制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、1か月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。


改正前の民法20条1項では、最初の「制限行為能力者」の後に、(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)という定義づけの規定がされていましたが、改正により削除されています。

それは、今回の改正で新設された民法13条1項10号において、同様の定義づけが規定されたため、規定の重複にならないように民法20条1項の定義づけが削除されたものです。
したがって、民法20条1項の改正は、実質的な内容の変更がないものです。

民法20条1項の内容

民法20条1項は、未成年者などの制限行為能力者と契約をした相手方成人.jpg
を一定程度保護するため
の規定です。
未成年者と契約をした相手方は、契約を取り消される可能性がある不安定な立場に置かれます。
それが嫌であれば、未成年者と契約しなければ良いにもかかわらず、わざわざ未成年者と契約をした以上、受け入れるべき状態ではあります。
ただし、取消権は、基本的に5年間行使可能ですので、かなり長期間にわたって不安定な立場になります。
そこで、未成年者などの制限行為能力者と契約した相手方は、未成年者が成人するなど行為能力者となった後は、1か月以内に契約を取り消すか追認するかを決めるように催告することを認めたのが民法20条1項です。
1か月の期間内に返事がなければ、追認があったものとみなされます
民法20条2項では、相手方が、制限行為能力者の法定代理人、保佐人、補助人に対し、同様の催告をすることが認められています。
また、民法20条4項では、相手方が、被保佐人と被補助人に対して、保佐人及び補助人の追認を得るように催告をすることができます。ただし、被保佐人、被補助人から、期間内に追認を得た旨の通知が発せられないときには、取り消されたものとみなされます。

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